性暴力は学校でも・・・初のセクハラ訴訟を闘った女性
「自分を責めずに声あげて あなたに非はない」
2026年3月6日(金) 19:37 RKB毎日放送
セクシュアルハラスメントという言葉は性的嫌がらせとして一般的に使われていますが、この言葉が広く知られるようになったのは福岡の女性が起こした日本初のセクハラ訴訟がきっかけでした。
学校での性暴力も問題となる今、この女性はセクハラや性暴力の被害に遭ったときは「自分を責めずに声を上げてほしい」と呼びかけています。
■「ありもしない男女関係言われ」職場の上司からセクハラ
晴野まゆみさん
「NOって言えなかった。私もやっぱり我慢してたんですよね」
福岡市に住む晴野まゆみさん。
40年ほど前、当時勤めていた会社の上司からセクハラを受けました。
晴野まゆみさん
「ありもしない男女関係を言われたりとか。卵巣嚢腫で入院するっていう時に、目の前で私が卵巣嚢腫になったのは、性生活、性的なことが乱れてるから、要する汚れたみたいなことを言われた」
■被害を受けたのに解雇され「ものすごく不公平」
今なら悪質なセクハラとして上司が処分されるケースですが、当時は職場での女性に対する性的な言動が問題だという意識がまだ日本の社会に定着していませんでした。
それどころか、晴野さんが社長に被害を訴えたところ聞き入れられなかったうえ、晴野さんの方が即日解雇されました。
晴野まゆみさん
「とにかく問答無用。明日からとにかく来るなと。こっちが被害者なのになんで自分が即日解雇で、そういう噂を立てた相手は三日間の謹慎で済む。これもすごく不公平ですよね」
■上司と会社を相手取り初の”セクハラ訴訟”
解雇された翌年、晴野さんは、上司と会社を相手取り、損害賠償を請求する裁判を起こしました。
日本で初めて「セクシュアル・ハラスメント」という言葉を使った裁判です。
■支えてくれたのは多くの女性たちだった
初のセクハラ訴訟として好奇の目で見られることもありましたが、同じような思いをしてきた多くの女性が共感し、支えてくれたと言います。
晴野まゆみさん
「そんなことぐらい大人の女なんだから、私だって我慢してきたのよっていう声もやっぱりあるわけですよ。でもそれでも、じゃあ我慢して何が変わりますかって。とにかくまずこの裁判をやることに意義があると。だから10年後、100年後経った時にあの裁判はやってよかったんだと言えるようにしよう、この裁判はその私たち全員の裁判なんだと言う気持ちで支援してくれた」
■全面勝訴 国が法整備へ
提訴から3年後、福岡地裁は、上司と会社に165万円の支払いを命じ、晴野さんの全面勝訴となりました。
晴野まゆみさん
「正直言って想像もしていなかった。たくさん傷つくこともあったけれども、でもやっぱり10年、20年、30年って経って、やっぱり少しずつ世の中が変わってきたし」
この裁判を一つのきっかけとして、国は男女雇用機会均等法を改正し、職場でのセクハラ防止対策を事業主に義務付けました。
職場でのセクハラに関する認識が広まる一方、今、学校での性暴力が問題となっています。
■トイレに押し込まれ教師から性被害
男子生徒の母親
「男子トイレの個室に息子が押し込まれてしまって。先生が背後から息子の股間を触るという」
こちらの女性は4年前、当時中学3年の息子が、担任の男性教諭から性被害を受けたと話します。
男子生徒の母親
「事件直後から、食欲がなくなってしまったり、眠れなくなったりして、その後にいじめにあったので、そういったところも含めて、息子はPTSDの診断がつきました」
■納得いかない学校の対応「裏切られた」
学校に担任の変更や、警察への通報を求めましたが、学校側は「改善させる」とのみ回答。
母親が警察に通報し、教諭は強制わいせつ容疑で逮捕されました。
現在、両親は学校の対応に不備があったとして学校を管理する自治体に損害賠償を求める訴訟を起こしています。
男子生徒の母親
「自分の息子にこんな被害が起きるなんて私も思ってませんでしたね。学校はそもそも信頼できるところだっていう認識を持っていましたから。すごくこう裏切られた気持ちもあります」
■性暴力で懲戒処分となった公立学校の教員 3年連続で100人以上
文科省の調査によると、2024年度に園児や児童、生徒への性暴力を理由に懲戒処分を受けた公立学校の教員は134人。
3年連続で100人以上が懲戒処分を受けています。
■学校での性被害 「上下関係も要因」
「全国学校ハラスメント被害者連絡会」の大竹宏美共同代表は、学校での性被害は、上司と部下の関係と同じように、教師と生徒の上下関係が一つの要因であると話します。
全国学校ハラスメント被害者連絡会 大竹宏美共同代表
「教員と児童生徒ってすごい特別権利関係にあるじゃないですか。先生の言うことを聞く子っていうのはいい子で、荒れちゃってる子とか反論する子は悪い子って定義される」
■「自分を責めないで。あなたには何の非もない」
被害をなかったことにしないように。
自身の経験を通して晴野さんはセクハラ防止のための講演会やイベントで被害者が相談したり声を上げたりすることができる環境が大切だと話します。
そして、セクハラや性暴力の被害者が「自分にも非がある」と考えてしまうケースが少なくないことを踏まえて、「自分を責めない」ように呼びかけています。
晴野まゆみさん
「被害を受ける人は、特に女性の場合は、あなたにも隙があったんじゃないの?とか、あなたがもっとしっかりしていればとかって責めてしまうんですよね。でも、私が言いたいのは、あなたには何の非もないとやってる向こうが悪いんだと。自分を責めちゃいけないし、自分らしく生きるっていうことを第一に考えていくことを大切にして」
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