2026年3月7日土曜日

▼「大声の時点でパワハラ」専門家が指摘 問われる“指導とハラスメント”の境界線 アンケートで管理職4割が被害訴えも…本人は否定 富山・黒部市

「大声の時点でパワハラ」専門家が指摘
 問われる“指導とハラスメント”の境界線
 アンケートで管理職4割が被害訴えも本人は否定 富山・黒部市

 

2026年3月7日() 12:44 チューリップテレビ

 

富山県黒部市の管理職の4割が武隈市長から「パワハラを受けた」とアンケートに答えた問題です。市民からは「部下の事も考えた方がいい」「4年間一生懸命やっておられたのに悔しい」など様々な反応がありました。

 

黒部市 武隈義一市長(5日の会見)

「真摯に受け止めて改善していくところは改善していくと考えております」

 

5日夕方、黒部市役所で会見を開いた武隈義一市長。

 

市役所内のアンケート調査に対し、管理職の4割が市長からパワハラを受けたと訴えていることがわかりました。

 

黒部市 武隈市長

「申し訳なく思っております」

 

市民は――

 

黒部市民

4月に市長選あるがに武隈市長大変なことになっとるがやね。部下のことも考えて、話しせんなんがんじゃないかな」

「一生懸命さがすごく、この4年間しておられたのをいろんなところから見る機会が私自身あったものですから。本当に悔しいですね。情けないというか」

「それはやっぱり人間だから、そういう時もあるがんね。市のためを思って、部下のためもあろうしね」

「市長ともあって責任ある仕事をやっておられる方が大声で怒鳴るとかは控えてほしい。ちょっと考えてからしゃべらんなね」

 

■過去にはペットボトル投げつけ謝罪

 

武隈市長は、4年前の20224月、自民分裂による一騎打ちを制して初当選。

 

当選から11か月後には――

 

武隈市長(おととし3月の会見)

「この度の不適切な行動により市政に対する市民の皆様の信頼を大きく失墜させることになりました。まあ職員にも大きな不安を抱かせることになりました。このことについては重く反省をして二度とこのようなことがないようにしたいという風に考えております」

 

市役所内の打ち合わせスペースのパーティションに飲料が入った状態のペットボトルを投げつけ破損させたとして謝罪しました。

 

武隈市長

「年度末で議会や予算、被災者とかいろんな業務がたくさんあった中で、少しそういう状況になってしまったというところであります」

 

市によりますと、その後のおととし12月、すべての職員を対象に市が定期的に行っている調査の中で、市長からのパワハラ被害を訴える報告が複数あったということです。

 

去年夏、総務課が市長に改善を申し入れて、市長は怒りの感情をコントロールする「アンガーマネジメント」の研修を受けました。

 

武隈市長

6秒少し考えてみるとか、そういうところはアドバイスは象徴的に覚えていますけど」

 

■パワハラ訴える報告相次ぐ

 

去年12月の調査でも再び市長からのパワハラを訴える報告が相次いだため、2月上旬、総務管理部長が管理職を対象に無記名のアンケート調査を実施しました。

 

このアンケート調査は、管理職63人を対象にしたもので、49人が回答。

 

「市長からパワハラを受けた」と回答した人は27人で、回答者の55%にのぼり、管理職全体の43%にあたります。

 

また、「部下や同僚がパワハラを受ける場面に居合わせた」と答えた人は29人で、回答者の59%、管理職全体の46%でした。

 

■市長「指導の範囲内ではないか」

 

5日の会見でパワハラの認識について問われた武隈市長は――

 

武隈市長

「大きな声を出したことはあったと思いますけど、それについてはあると思いますが、基本、いろいろなことを頻繁に報告してくださいとか、そういうことがない時に『報告してくださいよ』とかは指導の範囲内ではないかと考えています」

 

市によりますと、今回のアンケート調査で具体的な行為としては、

▼勤務時間外に何度も呼び出される

▼文書の決裁が遅い

▼大声を上げて怒鳴られる

この3つの回答が多かったということです。

 

これに対して市長は――

 

武隈市長

「時間外に呼び出したことはほぼないと思います。勤務時間外にラインで次の週の日程とか(市民から)いろいろな意見を聞いたことについて」「忘れてしまわないように送ってしまうことはあるんですけど」

 

大声で怒鳴ったことについては認めていますが――

 

武隈市長

「声は大きいけど、人を罵倒するような言葉自体は使わないと思っております」

 

また、おととしペットボトルを投げつけたことで、職員の恐怖心は拭えていないのではないかという記者からの質問に対しては――

 

武隈市長

「私自身はフラットな感じで接しているつもりですし、ただ政策の内容とか、何かことを進めるにあたって、打ち合わせ通りの手順でないとか、それとかできない理由だけをあげつらうような、それは『しっかり前に進めていきましょうよ』ということはいいます」

 

大声などをあげてしまう理由については市民からの要望を早く進めたいという思いが強かったと説明しました。

 

武隈市長

「職員との関係と同時に市民のみなさんとやっていかなきゃいけないと考えておりますので、そこでの両方のバランスをとるというか。私はどうしても市を良くしたいという思いが少し強く表に出過ぎるというか、強すぎるというところではないかと考えております」

 

■市長選に「今後もやっていくつもりで挑みたい」

 

黒部市では4月に市長選を控えていて、武隈市長は去年9月、再選を目指し出馬を表明しています。

 

市長選には前の副市長の上坂展弘氏も名乗りをあげていて、自民分裂選挙の可能性が高まっています。

 

今回の件を受けて、あらためて市長選への出馬については――

 

武隈市長

「黒部市自体のイメージを損なうものということですし、職員のみなさんにも申し訳ないと思いますけど、しっかりと政策をやって来て、今後もやっていくつもりで挑みたいと思います」

 

市の総務管理部は216日、アンケート調査の結果を受けて、武隈市長に

▼職員のワークライフバランスを尊重した執務マネジメントの徹底

▼迅速かつ確実な決裁

などを申し入れたということです。

 

■市長はパワハラを否定

 

パワハラを受けたと訴えている問題について、武隈市長は大声を上げたと認める一方、パワハラについては否定しています。

 

一方でアンケートでは回答した管理職のうち半数以上が「パワハラを受けた」と答えました。双方の認識に差があるようです。

 

パワハラの定義について例えば厚生労働省は次のように示しています。

▼優越的な関係を背景とした言動であって

▼業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより

▼労働者の就業環境が害されるもの

この3つの要素を全て満たすものとされています。

 

管理職からの回答で多かったのが、

▼勤務時間外に何度も呼び出される

▼文書の決裁が遅い

▼大声を上げて怒鳴られる、

3点でした。

 

このうち武隈市長は「大声を上げた」こと自体は認めた一方、「指導の範囲内だった」として、業務上必要かつ相当な範囲を超えていない、パワハラの定義にはあたらない認識を示しました。

 

■専門家「大声の時点でパワハラに該当」

 

武隈市長

「声は大きいけど、人を罵倒するような言葉自体は使わないと思っております」

 

武隈市長のコメントに専門家は――

 

日本ハラスメント協会 村嵜崎要代表理事

「大声を出している時点でパワハラに該当してきます。大多数の方がそのように感じている。パワハラに該当するという判断になる可能性が非常に高い」

 

日本ハラスメント協会で代表理事を務める村嵜要さんによりますと、パワハラを目撃したという回答が多いこともパワハラと認定される決め手になりやすいということです。

 

日本ハラスメント協会 村嵜要代表理事

「今回のアンケートでは(パワハラの)現場にいたという方が59%。第三者が市長からのパワハラの現場にいたという認識なんで、第三者の『これは行き過ぎだ』と感じているというような証明になってきますので」

 

信頼回復に向けては――

 

日本ハラスメント協会 村嵜要代表理事

「全面的に自分を振り返って、反省して『改善に向けて今後も活動していきたい』『職務を全うしたい』というような宣言をされるのがいいのではないか」

記者

「宣言というのは職員に対して?

日本ハラスメント協会 村嵜要代表理事

「職員も含めて世間一般にというところですね。もうすでにこのアンケート結果が報道されている状況ですので、全国に向けてというようなイメージかなと」

 

■特別職のパワハラは対象外の自治体も

 

市長は5日の会見で「市のイメージを損ない申し訳ない」と発言していて、信頼回復を図るためには職員とのコミュニケーションだけでなく、市民への説明責任も重要になってきます。

 

近年、全国的にも自治体トップによる職員へのハラスメント問題が相次いで明らかになっています。

 

村嵜さんは自治体トップのパワハラについて「どんな意見が出ようが(予算や人事など)最終的に決めるのは自分だという思いがあり、自分の意見と反する職員に対してパワハラが起きてしまうのではないか」とコメントしています。

 

黒部市によりますと、役所内でのハラスメントは委員会が調査して処分を行いますが、市長・副市長などの特別職は対象外で、これは黒部市に限った話ではありません。

 

富山県によりますと、職員によるハラスメントの処分基準はあるものの、こちらも対象は一般職に限られているということです。

 

知事などの特別職のハラスメントがあった際はこの基準を参考に対応するということですが、担当者は「前例がないので分からない」ともコメントしています。

 

全国的には自治体トップのハラスメント対策を条例化する動きも出てきている。

 

県内自治体では氷見市が「政治倫理条例」というものを定め市長のコンプライアンス違反に対する審査などをルール化しています。

 

射水市でも議会側からの指摘を受け特別職のハラスメント対策について条例化などを検討する動きがあります。

 

他の自治体は職員向けの内部規定を参考にしながら対応するケースがほとんどです。

 

こうしたルール化の動きについて村嵜さんは「民間企業であれば社長だけ対象外というのはない。自治体の職員だけが(特別職の)ハラスメントの訴えをするハードルが高いのは理不尽」「全国の自治体で条例制定に進んでいくべきではないか」とコメントしています。


《カウンセラー松川のコメント》

拙ブログ3月5日付け記事
「Mメンタルサポート」 ブログ出張版: ▼黒部市長から「パワハラ行為を受けた」が半数以上 管理職対象のアンケート 市長は「業務の一環」
これの続報です。



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