2021年12月13日月曜日

【マルキの闇】兵庫県警機動隊員の連続自殺、塗りつぶされた「真相」立ちはだかる“組織の壁”…明日14日、遂に「A隊員」が証言へ― 問い続ける遺族の6年

【マルキの闇】
兵庫県警機動隊員の連続自殺、塗りつぶされた「真相」
立ちはだかる“組織の壁”
…明日14日、遂に「A隊員」が証言へ 問い続ける遺族の6

 

2021年12月13日() 19:38 読売テレビ

 

なぜ…兵庫県警“マルキ”で2人が連続自殺

2人の青年は、笑顔の奥にどんな悩みを抱えていたのだろうか。

 

「いっぱい泣いて泣いて、悩んで悩んで、最期自分で腹をくくった。そんな表情をしっかり覚えています…」(山本翔巡査の母親)

 

「大声出して泣きながら、『機動隊の中は腐りきっている』って、『俺がこの組織を変えてやる』って。」(木戸大地巡査の父親)

 

2015年、兵庫県警の警察官2人が、わずか1週間の間に相次いで自殺した。2人が所属していたのは、兵庫県警機動隊、通称「マルキ」。災害時の救助活動や暴動の鎮圧にあたる部隊だ。この自殺の原因がパワハラだとして、遺族は警察組織を相手に、損害賠償を求めた裁判を起こした。しかし

 

「情報を公開をしてください。1週間のうち2人も、現役の機動隊員が亡くなっているんですよ」(木戸大地巡査の父親)

「我々としても組織で動いている、決まりとかで動いているわけです。それをないがしろにしろと言うことですか」(兵庫県警)

 

遺族の前に立ちはだかったのは、組織の壁。自殺の真相は闇の中だった。そんな中、明日1214日、3年ぶりの裁判が開かれ、遺書で名指しされた先輩隊員らが、初めて法廷で証言する。自殺から6年、戦い続ける遺族の日々とは

 

「あなたの思い描いた通りに…」A隊員への遺書

“夢”の職場で“死”を選んだ木戸大地巡査(当時24

 

兵庫県警機動隊に所属していた、木戸大地巡査・当時24歳。3人兄弟の二男で、幼いころから明るく活発なスポーツマンだった。

 

Q.警察官になるのが夢だったんですか?

「夢です。本当に夢です。大きな都会のおまわりさんではなくて、小さな町の駐在さんに憧れていたと思います」(木戸大地巡査の父親)

 

地元・広島の高校を卒業後、兵庫県警で、夢だった警察官に。高い能力を買われ、特殊捜査班に抜擢されたこともあった。プライベートでは結婚を控え、順調に歩みを進めているかに見えた。しかし、201510月、機動隊の独身寮で首を吊り、自殺。部屋には、家族にあてた遺書が残されていた。

 

<木戸巡査の遺書>

「父さん母さん、先にいくことを許して下さい。原因はうつを相談できなかった自分にあります。」

 

文面からは、精神的に追い詰められていた様子がうかがえる。さらに別の紙には、機動隊の先輩である『A隊員』に向けた内容が、乱れた文字で記されていた。

 

<木戸巡査の遺書>

「あなたの思い描いた通りになってよかったですね。もうこれ以上、あなたに関わることはないですよ。」

 

A隊員は木戸巡査の6歳上の先輩で、機動隊で使用する車両の管理を担当。車両を使用する際に必要となる書類の書き方について、木戸巡査を度々、厳しく叱責していた。また、職務上のミスを、一覧表にまとめて提出することも命じていた。

 

木戸巡査は、自殺当日、機動隊の同僚に、A隊員とのやりとりで悩んでいることを打ち明けていた。

 

<木戸巡査と同僚とのLINEのやりとり>

「また、ブチギレ始めた。」(木戸巡査)

「ほっとけー」(同僚)

「ずっと付きまとってくんねんて。」(木戸巡査)

「パワハラ―」(同僚)

「パワハラって言って通る職場ちゃうやろ。」(木戸巡査)

 

このやりとりからおよそ3時間後、木戸巡査は自ら命を絶った。

 

「自分のおかれている悩みとかそういったことを誰にも言えんかった。その悔しさ、つらさを思うとかわいそうだし、それを分かってやれんなかった親、自分たちがとってもみじめです。だから『ごめんな』…もうそれしか、言う言葉はありませんでした」(木戸巡査の父親)

 

別の隊員も自殺 遺書には「精神的に限界です」

 

兵庫県警の機動隊では、このわずか1週間前、別の隊員も自殺していた。木戸巡査の同僚だった山本翔巡査(当時23歳)。山本巡査の部屋にも、遺書が残されていた。

 

<山本巡査の遺書>

「これ以上、機動隊での勤務はたえられない。先輩の嫌がらせや、上司からのウソつき呼ばわりには、精神的に限界です。」

 

「唇の血がそのまま固まっているぐらい、しっかりと歯を食いしばったあとがあるんで…。苦しかったんやろうな、最後にいっぱい泣いたんやろうなって。いっぱい泣いて泣いて、悩んで悩んで、最後自分で腹をくくった、そんな表情をしっかり覚えています」(山本巡査の母親)

 

塗りつぶされた調査報告書 明かされぬ真相

機動隊内部で起きた異例の連続自殺。事態を重く見た兵庫県警は、内部調査を実施した。しかし、警察は木戸巡査の遺族に対し、遺書で名指しされたA隊員の言動について、「配慮を欠いた間違った指導だった」としながらも、「パワハラとまでは言えない」「指導の範疇だった」と、口頭で説明するばかりだった。

 

木戸巡査の父親は、広島から機動隊の寮に何度も足を運び、葬儀に参列せず、遺族の前に一度も姿を見せていないA隊員との面会を求めてきた。

 

「どんな職場だったか、見せてもらうことはできるんですか?」(木戸巡査の父親)

「業務やってますけども、勤務中なものですから」(兵庫県警)

 

「面会も話すこともできないんですか?」(木戸巡査の父親)

「どなたと話したいんですか?」(兵庫県警)

「できたらA隊員と話したいですよ」(木戸巡査の父親)

「今日はおりません」(兵庫県警)

「どうしてですか?」(木戸巡査の父親)

「体調不良で休んでおります」(兵庫県警)

 

「今日のために、合わせたような感じですね」(木戸巡査の父親)

「そんなことはないです。それは絶対にないです」(兵庫県警)

「本当に休みなんですか、A隊員は?」(木戸巡査の父親)

「そうです」(兵庫県警)

 

「電話を一本かけるわけでもない、焼香に来るわけでもない。遺書で書いてある10ある責任の、全部は彼に無いかもわからんけど、最後の怨念を書いた遺書ですよ。A隊員ってどういう方なんですか?」(木戸巡査の父親)

「・・・」(兵庫県警)

 

しかし、息子の死に結びつく新たな手掛かりは得られず、警察が行った調査結果の開示を求め、寮を後にした。

 

そして、後日届いた内部調査の報告書は、目を疑う内容だった。およそ100人への聞き取り調査の結果は、たった4枚の紙にまとめられ、A隊員を含む同僚からの聞き取り結果は、真っ黒に塗りつぶされていた。

 

「唖然としたのが正直な気持ちで。約2か月かかって、この4枚しか報告する調査内容がなかったのか」(木戸巡査の父親)

 

その後も、兵庫県警に情報の開示を求め続けるも、遺族の手元に届くのは黒塗りの文書ばかりだった。

 

木戸巡査とA隊員の間に何があったのか。読売テレビの取材班は、A隊員との接触を試みた。

 

「読売テレビですが、機動隊での自殺について伺いたいのですが、機動隊の中で何があったのでしょうか?」(読売テレビ記者)

「すみません、ちょっとすみません」(A隊員)

「木戸巡査との間に何があったのでしょうか」(読売テレビ記者)

「ちょっと、すみません」(A隊員)

「パワハラは無かったんですか?」(読売テレビ記者)

「・・・」(無言で走り去るA隊員)

 

A隊員が法廷へ 真相解明なるかー

遺族は、 「自殺の原因はパワハラだ」と主張し、兵庫県を訴えた。しかし県警側は、全面的に争う姿勢を示した。公開の法廷で裁判が開かれたのは、3年前の一度きり。民事裁判では、訴えを起こした遺族側が、自殺の原因がパワハラだったことを証明する必要がある。そのため木戸巡査の父親は、証拠となる警察側の資料を求める手続きなどに追われていたのだ。

 

そして警察側は、数百枚に上る膨大な資料を開示。遺書で名指しされたA隊員を含む、機動隊員らおよそ100人を対象にした、聞き取り調査の報告メモだった。調査では、A隊員が木戸巡査に対し「運転員を辞めろ」などと叱責していたほか、休みの日に呼び出して叱責したり、書類の不備があった場所に「ボケ 木戸」と書いた付箋を貼っていたことも明らかとなった。さらに、A隊員は、木戸巡査に対して特に厳しく接していたという指摘も。

 

「(A隊員は)小さなことでも木戸を叱責していた。特定の自分が言える相手だけ叱責していた。」(隊員)

「明らかに木戸を嫌っていた。ミス一覧表の提出は、ただの嫌がらせでしかない」(隊員)

「(A隊員の)怒り方は明らかにパワハラであると思う」(隊員)

 

「確実にA隊員は、木戸をターゲットにしていた、と。延べ128人の聞き取りのうち延べ39人が、『息子はA隊員から常日頃から叱責、いじめられていた』と。『大地が自殺したのは、A隊員が原因』だと、34人が言っています。」(木戸巡査の父親)

 

そして今年9月、遺族の前に一度も姿を見せず、沈黙を貫いてきたA隊員が、裁判所に陳述書を提出した。A隊員は、木戸巡査に対し配慮を欠く言動があったことを認めた一方、「ミスを少しでも減らし、機動隊を良くしたいという思いや責任感を持って精一杯取り組んできた。私の言動が自殺の原因になったとは考えられません」と綴った。

 

明日、1214日に開かれる裁判には、A隊員を含めた当時の先輩隊員と上司あわせて3人が、証人として法廷で証言する予定だ。

 

「土下座して謝ってほしいです。できるものなら、幹部連中も出てきて、こういうことがあったらこうなると分かった上で、組織を変えてもらいたい。でないと、大地の死が無駄死にになってしまう」(木戸巡査の父親)

 

警察が真っ黒に塗りつぶした「自殺の真相」は、明らかになるのだろうかー。


《カウンセラー松川のコメント》

全国津々浦々にある階級社会の象徴とも言える[警察]。
特に機動隊は暴徒集団に対しての部署なので、
集団活動が主であり上意下達は絶対です。
個々の意見を全て反映させたのでは犯罪者集団への対応は不可能です。
しかし、それとパワハラは全く別モノです。
例えダメな部下であっても、異動の根回しはしても、虐めをするのは論外。
それを階級を笠に着て虐め倒す様では、真の指揮官にはなれませんし、
他の部署では真っ当な警察官になれないでしょう。
しかし、警察は組織防衛が得意であり、
警察の威信低下は治安維持の為にもあってはならないので
真相を露呈させるのは相当に困難だと思います。

御遺族の皆様へ
大切な御子息様が自殺し、
その原因となった者がのうのうと生きながらえ、
現に退職もしていなのでは納得出来なくて当然です。
しかし、相手は県の組織とは言え、県警の実態は国家警察です。
裁判には相当な時間と費用と労苦が伴いますが、
弁護士の腕にも掛かっています。
どうか、真相解明と真の正義を貫く為にも、
御自愛頂きながら訴訟に臨んでくださいませ。

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