2025年6月7日土曜日

パワハラ自殺した警部補の妻「長崎県警は変革してほしい」…当時の課長と署長の重過失を訴え判決待つ

パワハラ自殺した警部補の妻「長崎県警は変革してほしい」
…当時の課長と署長の重過失を訴え判決待つ

 

2025年6月7日() 13:33 読売新聞(西山怜花)

 

 長崎県警佐世保署交通課の男性警部補(当時41歳)が自殺したのは、上司のパワハラや長時間労働が原因だとして、警部補の遺族が県に損害賠償を求めた訴訟の判決が10日に長崎地裁で言い渡される。県側はパワハラを認めているが、上司の重過失の有無などで争っており、判決を控え、警部補の妻(54)は「上司にも責任を取ってもらい、県警は組織として変革してほしい」と願う。

 

 「今でも主人のことを思わない日はありません」。34日の地裁での意見陳述。結婚記念日でもあったこの日、妻は夫と自身の二つの結婚指輪を左手薬指に着け、法廷で訴えた。

 

 真面目で優しい性格だった警部補。責任感が強く、急な呼び出しを気にして、親子4人で遠出をすることは少なかった。

 

 訴状などによると、警部補は20203月、佐世保署交通課交通捜査係長になった。課長から「お前は能力がない」などと繰り返し叱責を受け、時間外労働は月200時間以上に及んだという。同年103日、パワハラを受けたとの遺書を残し命を絶った。

 

 妻によると、スマートフォンの日記には「休まずにやっても毎日のように叱責を受ける始末」「仕事をするだけの毎日に意味が感じられない」などと記されていた。単身赴任中だった警部補のために、同県諫早市の自宅から毎週片道2時間かけて食事を届けに行くのが習慣だった。会うのを楽しみに運転中に聞いていた流行りの曲は「悲しみのスイッチになった」という。

 

 県警は同年12月、交通課長の男性警部のパワハラを認めて戒告の懲戒処分、署長については監督責任を問い本部長注意とし、2人は依願退職した。221月、地方公務員災害補償基金県支部は公務災害と認めた。

 

2年間にわたる裁判「本当に長かった」

 「人一人が亡くなってるのに、戒告止まりなんてありえない」。課長と署長の責任を問うため、妻は県に約13400万円の損害賠償を求めて提訴した。

 

 県側は請求棄却を求め、賠償の範囲などで争っている。争点の一つは「求償権」を生じさせる重過失の有無。国家賠償法は、公務員の故意や重大な過失で国や自治体が賠償責任を負った場合、公務員に負担させる求償権を認めている。遺族側は過重業務に従事させた重過失により、労働基準法に基づく付加金(制裁金)の支払いが相当と主張。県側は反論している。妻は「判決で2人に重過失があったと認めてほしい」と話す。

 

 妻は勤務の見直しなど、警部補の遺書で触れられていた県警組織の改革も訴えている。県警は22年から署の宿日直勤務を当番制に変更するなど改革を進めており、妻は「当番明けに帰りやすくなった」「県警だいぶ変わったよ」と夫の元同僚らから聞くという。

 

 妻は、約2年間にわたる裁判を「本当に長かった」と振り返り、「裁判を主人と一緒に戦っている気持ちになれた。警察の働き方に影響する将来性のある判断をしてほしい」と話す。


《カウンセラー松川のコメント》

拙ブログ2022年2月22日付け記事
「Mメンタルサポート」 ブログ出張版: 自殺の警部補を1階級昇任、長崎 上司がパワハラ、公務災害認定で
これの続報です。
遺族である夫人からの願い
「上司にも責任を取ってもらい、県警は組織として変革してほしい」
これが、 今後について一番大切なことでありますが、
日本警察と言う組織では一番難しい内容です。
組織防衛の為にも、
 ・不祥事の内容は軽く
 ・責任は軽く(「重くする=事案も重大」となるから)
 ・変革は避ける(「変革する=問題有りを認める」となるから)
これは避けたいところ。
よって、他者による金銭解決はともかく、自らの有責や変革は逃げるでしょう。

御遺族の皆様へ
恣意的に行われたパワハラを許せないのは当然です。
大きな組織を相手の法廷闘争も苦労が多いと思いますが、
最後までやり遂げられることも、供養の一つとして大切だと確信しております。


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