2025年6月5日木曜日

「熊本こころの電話」 相談員確保に苦慮 高齢化や負担の重さが要因?

「熊本こころの電話」 相談員確保に苦慮 高齢化や負担の重さが要因?

 

2025年6月5日() 9:19 熊本日日新聞(藤山裕作)

 

「生きていてくれて良かった」。電話相談でつらい気持ちを和らげ、自殺防止に取り組む「熊本こころの電話」が、ボランティア相談員の確保に苦悩している。高齢化や負担の重さなどが要因とみられる。そんな中でもボランティアたちは相談者の悩みに寄り添い、受話器を持ち続けている。

 

 「少しは楽になったかな」

 

 熊本市の施設の一室。相談員の主婦(82)は、受話器の向こうの40代男性に優しく語り掛けた。男性は1人暮らしで自殺未遂をした経験があるという。以前からの相談者だが、久しぶりのやりとりだった。主婦は「命を絶たずにいてくれて本当に良かった」と語る。

 

 別の電話で対応していた主婦(63)は、元相談者。悩みを聞いてもらい楽になった経験からボランティアになった。「相談者の声のトーンが明るく変わった時がうれしい」と、やりがいを感じている。

 

 熊本こころの電話は1984年に開設し、熊本県精神保健福祉協会が年中無休で運営。約8カ月間の養成講座や実習訓練を経て、協会から「ボランティアカウンセラー」に認定される。これまでの認定者は計1504人に上る。

 

ボランティアカウンセラー同士が相談や悩みごとを互いに共有する「つぶやきノート」など

 

 ただ、新規認定者は年々減少傾向にあり、最も多かった86年度の65人に対し、2024年度は7人。年間の活動人数もピークの03年度は290人だったが、24年度は半数に満たない124人に減った。60代~80代が相談員全体の約7割を占め、高齢化が進んでいる。熊本こころの電話運営委員会は「このまま減ると、存続にも影響してくる」と危機感を募らせている。

 

 電話相談は午前11時~午後6時半にボランティアが3交代制で対応。受け付け可能な電話3台のうち、少なくとも常時2台を稼働させたいものの、1人で担当せざるを得ない場合も。1人当たりの相談が長時間に及ぶケースも少なくないが、途中で電話を切るのは難しい。ほかの電話が鳴り響いても受けきれないのが現状だ。

 

 職場のハラスメント、家庭環境、異性との悩みなど多様な相談を、メモを取りながら真剣に傾聴している。ただ、中には強い口調での批判や侮辱する言葉を発する相談者もおり、ボランティアのストレスとなるケースも。ボランティア同士の「交流ノート」「つぶやきノート」や、当番の際にミーティングの時間を設けるなどして相談員のケアにも力を入れる。

 

 運営委員会の上田啓司副委員長は「話を聞くことで孤立を防ぐ。混迷する世の中でかけこみ寺として果たす役割は今後も大きい。年間でボランティア150人ほどは確保したい」とし、協力を呼びかけている。熊本こころの電話☎0962856688


《カウンセラー松川のコメント》

各地の「いのちの電話」の相談員不足が問題となっておりますが、
熊本県内には「いのちの電話」とは別に「こころの電話」もあるのですね。
公益財団法人熊本県精神保健福祉協会が運営しています。
相談員になる為の研修もある様ですが、
受講料は必要なのでしょうか?
数万円の受講料を支払い、長時間の研修を受けた上に、
活動は全て手弁当では、成り手が減少するのも当然でしょう。
ボランティアの制度も大切ですが、
決して「ボランティアは無償」と決まってはいません。
保護司、民生委員、消防団員。どれも公設のボランティアですが、
全て構成員の善意で成り立っています。
しかし、成り手不足でも悩んでいます。
システムが破綻しない様に構築や再構築も必要だと思います。


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