2021年7月14日水曜日

「顧問の暴走をなぜ止められなかったのか」遺族ら第三者委の設置を求める コザ高校で運動部主将が自殺

「顧問の暴走をなぜ止められなかったのか」
遺族ら第三者委の設置を求める
 コザ高校で運動部主将が自殺

 

2021年7月14日() 7:21 沖縄タイムス(社会部・徐潮、学芸部・嘉数よしの)

 

 沖縄県議会文教厚生委員会は15日、県立コザ高校で運動部主将の男子生徒が顧問から日常的に叱責(しっせき)を受け、1月末に自殺した問題の再調査を求める陳情を出している、県立高校の保護者有志らを参考人として呼んで意見を聞く。遺族は13日までに、本紙の取材に応じ、事実関係が分からない部分が多くあるとし「利害関係のない専門家を加えた第三者委員会を設置して丁寧に聞き取り、明らかにしてほしいと願うばかりだ」と訴えた。

 

 遺族は生徒が亡くなった当日の行動や、コザ高の教職員が顧問の不適切な“指導”を知らなかったのか、それとも言えなかったのかなど「分からない部分が多くある」としている。

 

 教育現場の風通しの悪さや人権意識の薄さに触れ「顧問一人の暴走でなぜ息子は命を落とさなければならなかったのか。なぜ誰も止められなかったのか。その背景も調査すべきことが多く残っている」と指摘。「しっかり向き合って、命の尊さを真剣に考えてほしい」と求めている。

 

 陳情者の一人でコザ高校保護者の男性は、県の第三者チームの調査期間がわずか18日間だったことを疑問視。「期間が短すぎ、遺族の『事実に向き合いたい』との希望に応えることは不可能だ」と訴える。

 

 県教委が第三者チームの調査報告書の全文を公開しておらず、開示請求しないと読めないことを問題視。コザ高は教職員や生徒、保護者に報告書を配っておらず「全くと言えるほど共有されていない。学校も県教委も事実に向き合っていない」と批判した。

 

 再発防止のため、学校がパワハラ問題に向き合えない事実と原因を分析すべきだと求めた。

 

 コザ高に通う生徒の保護者で、陳情者代表の鈴木友一郎さんは「今回の事件は県教委も高校も調査、検証の対象になる。県が第三者委を設置して調査しなければならない」と話した。

 

 「踏み込んだ対応が必要」 世取山洋介・新潟大教授に聞く

 

 教師の「指導」を機に自殺を図る子どもたちが、全国で後を絶たない。再発防止には何が必要か。新潟県で起きた高校生の「指導死」の調査に関わった、新潟大学の世取山(よとりやま)洋介教授(教育政策・教育法)に聞いた。

 

 2012年、新潟県立高校3年生だった男子生徒が、部活の顧問教諭の指導で自殺した。世取山教授は、遺族の要望を受けて設置された第三者委員会のメンバー。「なぜ自殺したのかを知りたい」という遺族の思いを尊重し、委員7人が約2年かけて当時の生徒や教職員らから詳細に聞き取り、報告書にまとめた。

 

 世取山教授は「顧問の指導で生徒の心がどう変化したのか知るため、時間をかけてインタビューした。ゼロベースから事実を積み重ねないと、全体像を把握できない。遺族が納得できるよう、死に至るプロセスをはっきりさせたかった」と振り返る。

 

 コザ高運動部の主将だった男子生徒は、顧問の男性教諭から日常的に叱責(しっせき)され、夜中まで通信アプリLINE(ライン)のやりとりを求められていた。ただ、県教育委員会が3月に出した第三者チームの報告書に、詳細なやりとりなどは含まれていない。調査期間も約3週間。同チームが「不十分」と認める短さで、新潟のケースとは大きく異なる。

 

 世取山教授は、遺族が「報告書に満足している。訴訟をするつもりはない。報告書に沿って再発防止策を進めてほしい」と話したことが、心に残っている。

 

 「できることを尽くさねばならない。調査だけでなく、再発防止には(勝利至上主義につながる)全国大会の中止も視野に入れた、踏み込んだ対応と覚悟も必要では」と提起する。


《カウンセラー松川のコメント》

一人の高校生が自死をしました。
その原因が学校側に有るのか無いのか?
有るとしたら、それは何か?
それを徹底的に調べるのが生徒を預かる側の責任だと思います。
調査に要した期間は18日間。
これで本当に全てを調べきれるのでしょうか?
御遺族以外の方からも再調査の要望が出ていると言うことは
やはり調査を尽くしていないと言う証左でしょう。
この様な結果に至った行政の安易さには非常に残念です。
もっと[生命]と言うものに真摯に向き合って欲しいです。

御遺族の方々へ
多くの保護者をはじめ、
この調査結果に納得が出来ていない方が いらっしゃるのですから
今度は徹底的な原因追及と解明を皆の力で徹底させましょう。
それが再発防止の一つの鍵となるはずです。


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