2021年7月12日月曜日

目を見詰め、無言でカリカリ…有権者からの「ハラスメント」 街頭で走った悪寒

目を見詰め、無言でカリカリ
…有権者からの「ハラスメント」 街頭で走った悪寒

 

2021年7月12日() 11:16 西日本新聞

 

 2年前の春。福岡都市圏の議員選に初めて立候補した女性は、街頭で悪寒が走った。

 

 演説後、聴衆と握手して回り、ある男性が差し出した手を握ったときだった。目を見詰めながら、無言でカリカリ…。手のひらを中指で何度もなぞられた。気味が悪かったが、「相手は有権者」と思うと強く出られない。笑顔を引きつらせ、手をほどくのが精いっぱいだった。

 

【アンケート結果】女性議員が少ない原因として考える理由

 

 女性の政治参画が進む裏で、男性の有権者や支援者からの「ハラスメント(嫌がらせ)」も増えている。

 

 「若い女性の手を握る機会もなかろ」。今年、全員男性の議会に挑んだ九州南部の40代女性は、地域を引き回してくれた男性の支援者が笑みを浮かべながら高齢男性を促した言葉に、違和感を覚えた。

 

 なめるような視線を感じた。支援者は、じとっとした握手を見届けると、「じゃあ、1票よろしくな」。悪気はない、と思う。だがそこに、無意識の性差別の根深さを見た気がした。

 

   ■    ■

 

 「(女性議員に)期待はないし、かえってやりにくい」「下手な言葉を口にすればセクハラ、パワハラと言われる恐れもある」

 

 男性議員が放言する姿が全国ニュースに流れた。当時、鹿児島県垂水市は市制施行から約60年間、男性が議席を独占、全国791の市議会で唯一、女性議員が存在したことがなかった。

 

 「女性ゼロ議会」が注目された2019年の市議選に、高橋理枝子さん(55)は挑んだ。育児世代の声は届きにくく、子育てや産後ケアなどの施策が遅れていると感じていた。男性議員の発言は、地域に残る男尊女卑の偏見が投影されているようでもあった。

 

 選挙では涙をのんだが、別の女性が当選、風穴をあけた。ただ、この選挙で女性候補に期待した50代女性は「女は裏方」の風土を自嘲気味に話す。「候補者探しではまず男性に声がかかる。立派な体格の人とかね」。高齢者が多い地域では力仕事へのニーズも多いから、が理由だという。

 

   ■    ■

 

 「子育て中になんで議員になるの。取りやめたら」。福岡県内の50代の女性議員が初めての立候補を決めた10年ほど前。支援者に紹介された年配女性の強い口調に絶句した。選挙や議会に追われて幼いわが子が寂しがるのでは、と迷った末の決断だけに余計響いた。

 

 別の子育て世代の女性議員は、支援者の女性の一言がよみがえる。「出産? 産休? 自分が応援した人が休むなんて、期待外れで、あり得ない」

 

 垂水市初の女性市議、池田みすずさん(47)は議員になって1年がたったころ、久々に会った知人女性の言葉にハッとした。「もっと自然体でいいんじゃないの」。気がつけば「自分らしさ」が薄れ、スカートをはかなくなっていた。「男性に負けないようにと無意識に肩に力が入っていた」

 

 圧倒的な男社会で、女性が築く「壁」に直面する女性議員も少なくない。

 

   ◇    ◇

 

 ガラパゴス化-。周囲から隔絶された環境で、生物が独特の進化をしたことで知られる南米の島々になぞらえ、世界標準からかけ離れた日本の製品や技術などを皮肉る言葉だ。政治の世界でも日本は世界から遅れ、ガラパゴス化が進む。国、地方を問わず、女性の政治参加率は低く、九州の地方議会で女性議員はわずか1割。今秋までに行われる衆院選を前に、政治分野の男女共同参画を目指す改正推進法が成立した。身近な地方議会から「女性と政治」を考える。

 

議会とハラスメント

 地方議員を対象にした内閣府の調査(3月まとめ、男女約5500人回答)によると、6割の女性がハラスメントを経験。性的、暴力的な言葉の嫌がらせ性別に基づく侮辱的な態度触る、抱き付くなどの行為年齢、婚姻、出産など個人的な事柄の批判や中傷-が目立った。一方、回答者の6割は所属議会にハラスメント防止のための倫理規定などがないと回答した。


《カウンセラー松川のコメント》

愚衆政治ではありませんが、議員選挙は人気投票の部分も有ります。
それを承知で立候補する必要はあるのではないでしょうか?
立候補者へのハラスメントを擁護するつもりは皆無ですが、
現実問題として立候補者への行為を告訴出来ないのであれば、
それが法治国家日本としての実状であり、
先ずはそれに甘んずるしかありません。
マスコミでは女性候補のセクハラ被害ばかりが取り上げられますが、
男性候補へのセクハラは全く無いのでしょうか?
意にそぐわない相手と握手をしている男性候補者だっているはずです。
ただ「得票の為」「当選の為」と思い、我慢しているだけだと思います。
アイドルが行うファン相手の握手会と同じです。
握手をしているアイドルだって、
握手をしたくない相手に対しても変わらぬ笑顔を投げかけています。
それは[自身の人気]即ち[自身の地位][自身の収入]に繋がるからです。
人気商売とは、そういうものではないでしょうか?
それと、議員とは労働者ではありませんから、
労働者と同じ様な権利の主張は間違っていると思います。
「出産? 産休? 自分が応援した人が休むなんて、期待外れで、あり得ない」
当然の声です。
有権者や地域の代表であり、代わりは居ないのです。
議員の仕事をする以上は、
「親の死に目にも遇えるか分からない」くらいの覚悟が必要だと思います。
議員でなくても、それだけの覚悟を持って仕事をしている人は沢山います。

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