2021年6月7日月曜日

トヨタ社長にパワハラ情報伝えず 幹部「危機感の欠如を反省」

トヨタ社長にパワハラ情報伝えず 幹部「危機感の欠如を反省」

 

2021年6月7日() 19:57配信 毎日新聞(松本紫帆、田口雅士

 

 トヨタ自動車は7日、男性社員(当時28歳)が4年前に上司のパワーハラスメントを苦に自殺した際、豊田章男社長にパワハラ情報を伝えていなかったと明らかにした。取材に応じた幹部は「トップに情報を適切にあげなかった危機感の欠如は、最も反省すべきことだ」と陳謝した。また、パワハラ行為を繰り返した上司らを処分したという。

 

 本社の車両設計を担う部署に配属された男性は201710月に自殺した。直属の上司から「アホ」「死んだ方がいい」などと人格を否定される言動を繰り返され、適応障害を発症していた。トヨタ幹部によると、豊田社長に男性が自殺した事実は報告されたが、当初の調査で明らかになった日常的なパワハラ被害や、遺族が被害と自殺との因果関係を主張していることも共有されなかった。

 

 トヨタは当初、パワハラと自殺との因果関係を否定したが、199月に豊田労働基準監督署がパワハラが原因だったとする遺族の申請通り労災認定。こうした一連の動きも担当部門だけで対応していたという。

 

 豊田社長は毎日新聞の報道で男性の自殺が発覚した1911月、遺族を訪ねて謝罪し、因果関係を一転して認めた。遺族に約束した再調査では、男性は被害を受けていた当時にSOSを出していたのに、社内で情報共有されていなかったことも明らかになった。幹部は一連の対応について「危機感が欠如していた。報告の仕方を含めて改善を続けたい」と語った。

 

 今回の問題を受け、トヨタはパワハラを繰り返した上司と関係社員を就業規則に基づき処分したことも明らかにした。上司以外の処分対象者や内容は公表していない。また、7日朝には遺族との和解で示した再発防止に向けた取り組みをホームページ
労務問題の再発防止に向けた取り組みについて | コーポレート | グローバルニュースルーム | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト (global.toyota)
で公表。人事評価の基準を人間性重視に見直すほか、約1万人の役員や幹部職らについて、部下らが評価する「360度アンケート」を導入することも掲げた。

 

 一方、加藤勝信官房長官は7日の記者会見で「職場でのパワハラはあってはならない。社会全体で対策への意識を向上して撲滅に取り組んでいきたい」と述べた。


《カウンセラー松川のコメント》

豊田社長がパワハラが原因で自殺した社員の遺族に対して
直接謝罪し和解に至ったニュースは掲載しておりますが、
[社員がパワハラ被害により自殺]と言う、
会社にとっては恥ずべき重大事案に対し、
社長には一切報告していなかったとの報道です。
取材に応じた幹部は「危機感の欠如」と語っていることから、
真の理解には至っていないことが分かります。
例えどんな巨大企業であろうと、
自社の従業員が自社の従業員の恣意的行為によって自殺したことを
社長が知らなくて良い訳がありません。
それは危機感云々ではなく、亡くなった従業員に対する礼を失しています。
巨大企業の幹部にもなると末端の従業員の死などは些末な事であり、
それが「社長への報告を不要」と判断したのは火を見るより明らかです。
まぁ、そんな事は言えないでしょうから、
取って付けた様な言い訳として「危機感」と言う尤もらしい単語で
飾り立てたのでしょう。

最後にトヨタ自動車からの発表を掲載致します。

労務問題の再発防止に向けた取り組みについて

2017年に若手社員が亡くなるという痛ましい事案が発生しました。亡くなられた故人に対し改めてご冥福をお祈り申し上げ、衷心より哀悼の意を表します。

その後、2019年に豊田労働基準監督署による労働災害であるとの判断の中で、当時の上司によるパワーハラスメントを伴う行き過ぎた指導があったことが認められました。

当社としましては、大切な社員の尊い命が失われた事実を真摯に受け止め、このような痛ましい事案を再び起こさないよう、再発防止に向けた取り組みを検討、実施してまいりました。

当社は、今回お知らせする再発防止策を推進し、パワーハラスメントを断固として許さないという姿勢のもと、社員一人ひとりが周囲に関心を持ち、自分以外の誰かのために行動できる「YOUの視点」を持った人財づくりを進め、一人ひとりの社員が安心して働ける、風通しの良い職場風土を築くよう、努力を続けてまいります。

再発防止に向けた取り組み

「風通しのよい職場風土づくり」、「パワーハラスメント行為を行わないマネジメント」、「メンタルヘルス不調者に対する適切な対応」等の施策について取り組みを進め、社内から、パワーハラスメント行為の撲滅を目指します。

  1. (1)声を出しやすい職場づくりに向けた取り組み

令和2年4月に、これまでの相談窓口を「スピークアップ相談窓口」に統合し、匿名での通報、職場の同僚や家族など第三者からの相談も受け付けているほか、若手社員に対する毎月のアンケートの実施、職場の身近な相談先として、職場相談員の設置を進めております。こうした施策を通じ、従業員の困り事や、職場の課題を早期に発見・解決してまいります。

  1. (2)パワーハラスメントに対する厳格な姿勢を就業規則に反映

令和2年4月に就業規則を改定し、パワーハラスメントの禁止、およびパワーハラスメントを行った際の懲罰規定について、より明確に記載いたしました。

  1. (3)異動時における評価情報の引継ぎの強化

令和2年10月に、従業員の評価や、ポスト長の職場マネジメントに関するアンケート結果などの個人情報を一元管理するシステムを導入しております。これによって、過去の評価や人事情報を確認することが可能となり、今まで以上に本人の適性を踏まえた業務アサインを行い、過去から一貫性のある育成を実施してまいります。

  1. (4)マネジメントに対するパワーハラスメントの意識啓発

令和2年4月より、すべての幹部職・基幹職を対象に、パワーハラスメント防止の教育を再度実施しております。また、評価基準を見直し、今まで以上に「人間力」のある人材、周囲へ好影響を与え信頼される力を持つ人を評価します。加えて、役員、幹部職・基幹職を対象に、360度アンケートを導入いたしました。対象者の強み・弱みに関する周囲の声を集め、本人にフィードバックすることで、自らの行動を振り返り、改善につなげてまいります。

  1. (5)休務者の職場復職プロセスの見直し

令和2年5月より、休務者の状況把握、復職可否判断、職場復帰後の職場環境面を含むケアについて、産業医、人事労務スタッフ・職場がこれまで以上に緊密に連携し、本人のコメントや主治医の意見も踏まえ、円滑な職場復帰をサポートする体制を構築してまいりました。

また、産業医が、休務者のサポートや職場復帰後のフォローを適切に行うため、令和2年12月より、精神科専門医が常駐する相談センターを開設しました。対面又はオンラインによって、メンタル不調者や上司との面談を行い、その結果に基づいて、産業医に対し、専門的立場からのアドバイスを提供しています。

今後も、体制改善に向けて努力してまいります。

以上

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