2021年11月21日日曜日

ソディック社員「過労自殺」労基署認定 残業月123時間、上司詰問

ソディック社員「過労自殺」労基署認定
 残業月123時間、上司詰問

 

2021年11月21日() 16:00 毎日新聞(戸上文恵)

 

 東証1部上場の工作機械メーカー「ソディック」(本社・横浜市)の社員、大泉共生(ともお)さん(当時43歳)が2017年に自殺したのは、長時間労働でうつ病を発症したためだとして、松本労働基準監督署(長野県松本市)が労災認定していたことが、関係者への取材で判明した。直前の時間外労働は月123時間。5日前には、実際にはやっていない不正を上司に詰問されており、自殺の引き金になった可能性を指摘する意見が添えられた。

 

 ◇遺族へ直接の謝罪なし

 

 認定は20131日付。遺族側代理人の岩城穣弁護士らによると、大泉さんは松本営業所(同)で機械修理やメンテナンスを担当。165月、同僚の異動で通常2人で担当する業務を1人でやるようになり、長時間の残業が常態化した。

 

 17421日の社内会議で、大泉さんは取引先への訪問記録を捏造(ねつぞう)し、残業代を不正請求しているなどと疑われ、上司から繰り返し詰問された。別の社員が携帯電話の位置情報などを確認して疑いは晴れたが、上司から謝罪はなかった。

 

 同月26日、大泉さんは長女愛菜(えな)さん(当時7歳)とともに失踪。57日、山形県小国町の林道に止めた乗用車の中で遺体で見つかった。車内に練炭の燃えかすがあり、26日夕に無理心中を図ったとみられる。

 

 松本労基署は、大泉さんが174月上旬にうつ病を発症したと認定。過去半年間で残業が80時間を超える月が4回あり、直前1カ月は123時間だった。同署は、通常2人でやっていた業務を1人で担当したことが強い心理的負荷を与えたと指摘。上司に詰問された会議については、うつ病発症後の出来事だとして判断しなかったが、「自殺の誘因の一つとなった可能性が高い」とする専門部会の意見が添えられた。

 

 217月、同社が遺族に解決金を支払うことで和解が成立。ただ、同社は労災認定を公表せず、遺族への直接の謝罪もしていない。同社は取材に、「ご遺族の皆様には心よりおわびとお悔やみを申し上げます。再発防止対策を検討・実施します」とのコメントを出した。


《カウンセラー松川のコメント》

自殺の直接の原因は長時間労働によるうつ病とされていますが、
私は長時間労働を装った残業代稼ぎと疑った上司の詰問が
自殺のトリガーになったと判断しております。
長時間労働による心身の疲弊が起こるのは当然ですが、
それでも職場の支援や理解があれば頑張れた可能性は高く、
自殺ではなくうつ病で勤務不能に陥いったかも知れないのです。
一人で頑張っているのに、それを上司に信じて貰えないのは、
疲弊した心を更に痛めつけている訳です。
私も前職の或る部署では、
残業時間3桁の上に公休日が月間に1日だけの月が何か月も続きましたが、
同僚が皆同じ状態だったので頑張り抜けたのだと思っています。
「寄らば大樹の陰」と言われ、
就職先として大企業や一部上場企業が好まれますが、
退職まで安定が確実な企業は無いことが判明している現代、
そこに[上司ガチャ]まで登場するのですから、
サラリーマンにとって「一寸先は闇」の状態と言えるでしょう。

御遺族の方へ
会社としての謝罪はありませんが、
和解が成立したのならば謝罪をする必要もありません。
しかし謝罪をしないのは、
この事案に対して真摯に向き合っていない証とも言えます。
残念ながら「そう言う会社なのだ」と諦めるしかないでしょう。

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