2021年11月22日月曜日

「最大級の侮辱的な言葉」と認定 米軍パワハラ、日本政府に賠償命令

「最大級の侮辱的な言葉」と認定 米軍パワハラ、日本政府に賠償命令

 

2021年11月22日() 18:57 朝日新聞(村上友里)

 

 神奈川県の米海軍厚木基地で働いていた日本人の元従業員が、米国人の上司からパワハラを受けたとして約3800万円の賠償を日本政府に求めた訴訟の判決が22日、東京地裁であった。三輪方大裁判長は「米国での最大級の侮辱的な言葉で叱責(しっせき)して人格権を侵害した」とパワハラを一部認め、55万円の支払いを命じた。

 

 原告側の代理人弁護士によると、在日米軍基地で働く日本人へのパワハラが裁判で認定されたのは初めてとみられる。判決は、従業員を雇用し米国に労務提供する日本政府には従業員の労働実態の把握が求められていると指摘し、賠償責任があると結論づけた。

 

■「クビ」「うそつき」と叱責され、適応障害に

 

 判決によると、60代女性の元従業員は、米軍人やその家族の日本での生活を支援する部署で勤務。2013年に米軍所属の女性上司からパワハラを受け、適応障害になり、休職後の16年に退職した。

 

 判決は、元従業員の仕事内容について不満を抱いた上司が「クビにしてやる」「うそつきだ」「やることすべてが間違っている」「すべてが気に入らない」と叱責したことをパワハラと指摘。「職場内の優位性を背景に精神的苦痛を与えた」と述べ、適応障害の診断と叱責との間に因果関係があると認めた。

 

 

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米軍厚木基地でのパワハラ認定 国に55万円賠償命令 東京地裁

 

2021年11月22日() 16:26 時事通信

 

 米軍厚木基地(神奈川県)で勤務していた日本人女性が上司の米国人からパワハラを受けたなどとして、国に計約3900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、東京地裁であった。

 

 三輪方大裁判長は訴えを一部認め、55万円の支払いを命じた。

 

 女性の代理人弁護士によると、在日米軍基地で勤務する日本人へのパワハラと国の責任を認めた判決は初めてとみられる。

 

 判決によると、女性は同基地の後方支援部で米軍関係者らの支援事務作業に従事していた20131012月、上司から「あなたはうそつきだ」「クビにしてやる」「やることすべて間違っている」などと叱責された。

 

 三輪裁判長は「上司という職場内の優位性を背景に人格権を侵害するものだ」とパワハラを認定。女性は142月に適応障害と診断されたが、叱責との間に因果関係があるとした。

 

 その上で「米国がパワハラ防止義務を怠ったことは明らか」と判断。日本政府は米軍関係者へ労務提供するために女性を雇用する立場にあり、米国に義務違反がある場合は賠償責任を負うと結論付けた。

 

 一方で、女性が訴えていた退職とパワハラとの因果関係は否定した。女性の代理人を務める小川治彦弁護士は「在日米軍基地でのパワハラを認め、国に賠償を命じたのは意義がある。ただ、退職との因果関係が認められなかったのは遺憾で、控訴を検討する」と話している。

 

 防衛省は「一部、裁判所の理解が得られなかったと受け止めている。慎重に検討し、適切に対応する」とコメントした。 


《カウンセラー松川のコメント》

一般社会に置き換えると、
「派遣労働者のパワハラ被害への賠償は派遣元が負う」と
判決が出た様なものです。
今般の事案では相手が治外法権の権化の様な進駐軍なので
とりあえず賠償金を支払う相手を立場の弱い側に振った感もあります。
しかし、パワハラ行為に対しての賠償は認めても、
パワハラと退職との因果関係は認めない珍しい判決ではないでしょうか?

被害者の方へ
相手が日本政府ならともかく
進駐軍であるアメリカ軍を相手にした訴訟ですと
判決も及び腰になりがちですので、
パワハラだけでも認められたのは小さな勝利と言えましょう。
しかし、大切なパワハラと退職との因果関係を認められなかったのは、
原告として悔しいことでしょう。

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