若年者メンタルヘルスに早期相談窓口は有用、東邦大学が成果公表
2021年11月16日(火) 大学ジャーナル
東邦大学の根本隆洋教授らの研究グループは、若年者を対象としたメンタルヘルスに関する早期相談・支援窓口「ワンストップ相談センターSODA」の活動を続けている。今回、相談者の特徴や臨床型ケースマネジメントの支援効果を明らかにし、その有用性が示された。
研究グループは厚生労働科学研究補助金を受けて、2019年に東京都足立区の北千住駅前に、SODAを開設。若年者の多様な悩みや困難に対して、多職種チームによる包括的アセスメントと臨床型ケースマネジメントを実施している。
研究報告では、SODAに来談した105名の相談記録を集計し、6ヶ月間継続して相談支援(臨床型ケースマネジメント)を受けた群(21名、平均19.2歳、女性57.1%)と、少数回の相談のみで終了した群(84名、平均20.9歳、女性54.8%)に分けて、検討を行った。
その結果、両群ともに最も多い相談内容は、漠然とした「メンタルヘルス不調」だった。加えて、家族問題、ひきこもり、学校に関することなど、複数領域にわたる悩みや困難を同時に相談していた。臨床型ケースマネジメント群は、統計学的に有意に多領域・項目の相談をしていた。
臨床型ケースマネジメント群21名のうち、71.2%は精神疾患の診断基準を満たすと考えられた。初回相談時点で精神科治療を受けていた者は42.9%だった。21名は6ヶ月間に平均491.3分の臨床型ケースマネジメントを受けた。その内容は、地域生活のための支援、精神・心理面の支援、他機関との連携のための支援、就労支援、家族支援で、GAFスコア※は初回相談の6ヶ月後には有意に改善が見られた。
SODAのような取り組みにより、地域社会の喫緊の課題である精神科医療サービスと保健サービスのギャップの解決が期待される。
※「機能の全体的評定(GAF)スコア」は、メンタルヘルス不調と社会生活における対人関係、就学就労状況等の全般的機能を点数化して総合的に評価する尺度。
論文情報:【Early Intervention in Psychiatry】
An integrated youth mental health service in a densely populated metropolitan area in Japan: Clinical case management bridges the gap between mental health and illness services - Uchino - - Early Intervention in Psychiatry - Wiley Online Library
《カウンセラー松川のコメント》
メンタルヘルスには相談先を持っておく、
または知っておくことが大切であることが研究結果として発表されました。
自身で解決する力や努力も必要であり、何でも他者に頼るのは考え物です。
しかし、自力で解決出来ない案件も、また多々有りますので、
必要に応じて相談出来る相手を確保しておくこともまた大切です。
特に若年者ほど、社会経験が少ないので、自力解決も難しいでしょう。
近年はコミュニケーションを避けたり嫌う人々も増えましたから、なおさら相談できるような人が近くに居ないでしょうね。ますます負の連鎖の状況かと思います。 隣の人は何する人ぞとよく言われましたが、近所付き合いだけでなく、学校でも仕事先でも、それが専門家であっても、相談できるような人(場所)は必要ですし、見つけて欲しいですね。人はひとりでは生きていないのだから。
返信削除以前から若者がコミュニケーションを取らなくなり、友人同士で固まる傾向がありましたが、最近では友人さえも親しくはならなくなっているのですね。近年では家族とのコミュニケーションも不足している様なので、これでは相談出来る相手も居なくなるはずです。
削除相談出来る相手としての窓口を作り専門家による対応も必要ですが、合わせてコミュニケーションの大切さも教えることが教育機関ならば必須でしょうね。