2025年3月1日土曜日

地下鉄サリン被害者がPTSD 事件から30年、支援継続必要

地下鉄サリン被害者がPTSD 事件から30年、支援継続必要

 

2025年3月1日() 0:02 共同通信

 

 地下鉄サリン事件の被害者を支援するNPO法人「リカバリー・サポート・センター」(東京)が、2023年に被害者のうち約200人を調査した結果、24.1%の男女が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を抱えている可能性が高いことが、28日分かった。00年から毎年、数百人を対象に定期的に調査を続けてきた。体の不調を訴え続ける当事者もおり、1995年の事件発生から30年近くたってもなお、症状と折り合いをつけながら生活する実態が浮かび上がった。

 

 地下鉄サリン事件では6千人以上が重軽症となった。同法人は00年から年1回、希望する被害者の検診を行い、その際、PTSDも含めた心身の状態も尋ねてきた。

 

 「場面がいきなり頭に浮かぶ」「考えないようにしている」など22の質問に「04点」の5段階で回答し、計25点以上となればPTSDの疑いがあるとされ、その割合は00年は男性26.7%、女性38.8%だった。

 

 10年は男性20.3%、女性45.5%となり、直近の23年は男女ともに24.1%だった。



※ 他社による関連ニュースも掲載致します

被害者支援団体、3月で解散 受診者減少、職員も高齢化
―理事長「心身の不調に折り合い」・地下鉄サリン事件30年

 

202531日(月) 00:02 時事通信

 

 オウム真理教による地下鉄サリン事件から30年となるのを機に、被害者の集団検診などをしてきたNPO法人「リカバリー・サポート・センター」(東京)が3月末で解散することが28日、分かった。受診者数の減少やスタッフらの高齢化が理由で、理事長で弁護士の木村晋介さん(80)は「被害者も心身の不調と少しずつ折り合いをつけられるようになった。30年の節目で、解散を決めた」と明かした。

 

 センターは2002年3月、検診体制の強化やサリンの健康への影響を調べる目的で設立された。有志の医師らによる検診は事件翌年の1996年から行われていたが、5年ほどたっても目の不調を訴える被害者は少なくなかった。

 

 木村さんは「一過性だと思われたサリンの症状が持続的なものだと分かった。長期的に被害者を診る体制が必要だった」と振り返る。神経眼科医や精神科医らが集まり、坂本弁護士一家殺害事件で支援活動に当たった木村さんが理事長を引き受けた。

 

 年に一度の検診では眼科検査やカウンセリングに加え、アロマセラピーやツボマッサージ講習会なども開き、被害者同士の交流の場も設けられた。高齢化による受診者数減少やコロナ禍もあり23年に検診は終了したが、有志の頃を含め延べ2700人以上が受診した。

 

 体や目、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの症状について問うアンケートも00年から毎年続け、これまで延べ約7600人分のデータが蓄積された。20年には広島大などがデータを基に、被害者とPTSDとの関連についての研究成果を発表した。データは今後、研究者らへの提供も念頭に活用法を検討中といい、木村さんは「サリンの人体への影響を示す貴重な資料。万が一、同じような事件が起こったときには先例として役立てられれば」と話す。

 

 センターの解散は昨年11月の総会で決議され、今年2月末発行の広報誌で会員約1000人に報告された。事件30年に合わせ集めた会員の手記には「センターの存在が心の支えになった」「気持ちに安心感を与え続けた」などの言葉が並んだ。

 

 設立当初からの職員の山城洋子さん(76)は「当初は資金面や被害者との関係で不安もあり、一年一年の積み重ねだった。続けられたことをよしとしたい」と感慨深げに話した。


《カウンセラー松川のコメント》

リカバリー・サポート・センターについて
共同通信と時事通信が同日同時刻に配信しておりますが、
「統計数値の発表」と「同センターの解散」と
全く別の事案を報じております。
日本のみならず世界を震撼させた「地下鉄サリン事件」。
サリンと言う有毒物質による被害だけでなく、
心への被害が及び、それが今も続いているのは
被害者にとっては辛い日々が続いているだけでなく、
事件や被害者の存在が風化してしまう事も恐ろしいです。
団体を維持するには、気持ちの問題だけなく、財政基盤も必要です。
30年間に渡り団体活動を継続出来ただけでも、
大いな称賛に価します。
被害に遭わなかった方々、事件当初は生まれていなかった方々、
多くの人びとで被害者支援を継続したいものです。

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