セクハラ被害申告、1年も「調査不足」のまま
当事者の市役所幹部、定年退職に
2021年4月1日(木) 7:31 京都新聞
滋賀県甲賀市の部長級職員=3月31日付で定年退職=が女性職員からセクハラを申し立てられ、市が1年間調べながら調査不足として新年度の4月以降も調査を続けることが同日、分かった。市は「個別事案のことは言えないが、一般的に申告者の体調に配慮したり追加調査の要請があったりすれば遅れる場合はある。在職中の事案ならば退職後も責任追及は可能」と説明している。市によると、部長級職員には退職金が満額支給されるという。
甲賀市への女性職員の申立書によると、部長級職員は2019年4月から部署が一緒になった女性職員に対し、「太ってきた」と2回発言したほか、下の名前で呼ぶなどしたという。女性職員は20年3月、被害を訴え、部長級職員の処分や接触防止などを市に申し立てた。
女性職員側や関係資料によると、市は20年4月以降に女性職員と部長級職員に聴き取りを行った。女性職員は20年9月に弁護士を代理人に立て詳細な追加資料を再提出。市は代理人とやりとりし、21年1月初旬に調査項目を確定させた。途中、20年10月から2カ月間、両者で関連のやりとりが滞ったが、市は確認をしなかったという。
市が21年2月に職場の他の職員を、3月に部長級職員をそれぞれ再聴取した。部長級職員の主張が女性職員に開示されたのは同月中旬の苦情処理委員会の実質2日前で「反論機会がない」として女性職員側が抗議。同委員会は開いたが、別の調査不足も判明し、市は調査続行を決めたという。
京都新聞社の取材に対し、市は「どの事案に対しても迅速かつ慎重、適正な対応をしている」とした。
女性職員は「本当に迅速で適正なのか。相手方は定年退職するが、真実の追及のためには調査継続をお願いするしかなかった。市には思いをくみ取り申告者側にもっと寄り添った対応をしてほしい」と訴える。
この事案を巡っては女性職員が適応障害と心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、20年3月以降、休職。部長級職員は京都新聞社の取材に「何も答えることはない」と話した。女性職員は滋賀県警に傷害の疑いで告訴状を提出し、受理された。
新川達郎同志社大教授(地方自治論)の話 慎重な処理に努めていたことは理解できるが、調査に不慣れな上に人手が少ないなど危機管理能力が不足していた可能性があり、苦情処理の体制の見直しが必要と考えられる。当事者の定年退職は当初から分かっていることであり、処理の時間が長くなれば申告者の心身の負担が増すことを考えれば、組織として優先順位を誤ったと言えるのではないか。
《カウンセラー松川のコメント》
パワハラ加害者と目される人物が定年とは言え退職してしまうのは
何だか柔道連盟でのパワハラ問題と似た経緯を感じます。
当局としては尤もらしい口実を並べて居ますが、
本当に退職した職員から的確に事情を聴取出来るのでしょうか?
勤務時間中ならば、いくらでも事情を聴取出来るかも知れませんが、
退職した職員となると調査側の職権も及び難いので
確実な調査が出来るのか甚だ疑問です。
当該人物の定年退職までの時間稼ぎをしていた可能性は否定出来ません。
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