2021年4月30日金曜日

【独自】消防団員たちが告発!「パワハラ、全裸飲み、コロナで大会実施」の理不尽

【独自】消防団員たちが告発!
「パワハラ、全裸飲み、コロナで大会実施」の理不尽


2021年4月30日() 12:01 AERA dot.(飯塚大和)

 

 新型コロナの感染拡大が続く中、地域住民たちで構成される消防団が消火の技術を競う「全国消防操法大会」が、予定どおりの実施を見込んでいる。全国大会は10月だが、それに伴い市大会や都大会も控えており、すでに訓練を始めているところもある。50年以上の歴史があるこの大会。だが、コロナ禍で中止を決めない運営側のスタンスに、SNS上では全国の団員たちから不満の声が噴出している。

 

 コロナを機に批判が強まった形だが、消防団の「理不尽な組織風土」を非難する声も散見される。全国約2200の消防団の活動の多くは健全に励んでいると思われるが、取材した各地の団員たちが口にしたのは、パワハラ、訓練への強制参加、コンパニオンを呼んだ全裸の飲み会、退団拒否といった、数々の理不尽だった……

 

「このコロナ禍での全国大会実施については、疑問しかありません」

 

 こう話すのは、長野県に住む自営業の30代男性(入団14年目)だ。全国大会は例年、応援も含めれば数千人規模の団員が参加する一大イベント。必然的に、全国各地から消防団が集うことになる。

 

「感染が広がらないか心配です。開催するとなれば、大会当日だけでなく、大会に向けて数カ月前から練習を重ねます。当然、家族や会社の人間にも感染リスクを背負わせることになる。私も高齢の母と同居しているので、不安でしかありません」

 

 東京都の50代会社員男性(入団20年目)も、「コロナ禍での実施は理解ができない。中止にならないことが非常に残念」と嘆く。「都大会も実施予定ですし、その出場隊を決めるために、市の大会も実施することになる。変異種が増えている上、夏になってもワクチンは打てないでしょうから、とにかく不安」

 

 こうした声に対して、大会を主催する日本消防協会はどう捉えているのだろうか。協会側に実施の理由などを問い合わせたが、期日までに返答は得られなかった。

 

 地域差はあるだろうが、大会に向けた訓練には相当の負担を強いられる。前出の30代男性の分団では、大会の2カ月前から週に5回、早朝5時からの訓練を実施するという。感染に不安があっても、訓練は強制参加だ。市大会上位大会県大会全国大会と勝ち進んだ場合は、約6か月間、120回ほどの早朝訓練を続けることになる。

 

「選手は朝4時に集合して、ウォーミングアップや準備をしています。朝が早いので、仕事にも支障が出る。自動車通勤中や勤務中、何度も寝そうになりました」

 

 別の地域ではどうか。熊本県に住む自営業の20代男性(入団4年目)の分団では、例年、大会の1カ月前から毎日訓練があるという。平日の訓練は18時半ごろに開始し、23時ごろまで続く。

 

「大会に向けた訓練は基本的に強制参加。その間は残業ができないので、皆、バタバタと仕事を済ませ、急いで練習に駆けつけるような状況です。そもそも、コロナの感染拡大のリスクをとってまでやる大会なのだろうか」

 

そう疑問を呈し、こう続ける。

 

「今年に限らず、操法大会は廃止にした方がいい。実施しなくても、困ることはありません。実際の火事場では役に立たないと思う点がたくさんあります」

 

 この男性が「(廃止しても)困らない」の一例として挙げたのは、実践的とは言いがたい訓練方法だ。

 

「選手は4人だけなので、全体練習の時も、選手以外の団員はサポート役として見ているだけ。若手たちは『回れ右』や足並みをそろえて歩く練習をさせられることもあり、ポンプを触らないまま年月が経っていく。実際の火事場では全員がある程度ポンプを使えなければいけませんが、こんな状況では、技術が行き渡ることもありません」

 

 前出の50代男性によれば、操法大会用の訓練は器具の取り扱いや消火の基本的な流れなどを網羅しているので、本来であれば入団3年目ぐらいの人に適した内容だと話す。だが、実際の大会では、入団十数年の団員が何年も続けているような状況で、「もはや競技のようになってしまっている」と嘆く。

 

 勝ち進むための評価基準の一つとなっているのが、動きを綺麗に見せる「規律」という項目。だが、実際の火事場ではまったく役に立たないという。

 

「それでも大会に勝つためには必要なので、動きを揃えるシンクロなどを徹底的に練習します。例えば、4人の動きをシンクロさせるために、何十回もポンプ車に乗り込む練習や、指先やかかとの向きが揃っているかなど、何度も同じ動きを練習するのです。それに割く時間があるくらいなら、近隣の消防署との連携訓練や、複数のポンプを使った訓練などを行ったほうが、はるかに現場で役に立つはずです」(前出の30代男性)

 

 地域や団によるだろうが、話を聞いた消防団たちからはいずれも、団の「組織体質」を疑問視する声が挙がった。前出の30代男性は、「過去には、パワハラととらえかねない出来事は何度も見てきました」と訴える。

 

「ミスをすれば、『怒鳴る』『蹴る』『練習を切り上げて帰る』。練習に出てこない団員を恫喝するといったこともありました。大会が近づくと『気合いを入れるため』と選手を集め、意味のない説教をすることも当たり前のようにあります」

 

 訓練中にはケガがつきものだというが、公務災害として申請しづらい雰囲気があるという。

 

「消防団の公務災害の7割は操法練習中に起こると言われていますが、軽いけがは報告されないことが多く、氷山の一角でしかない」(前出の30代男性)

 

 さらに、「断れない飲み会」が、団員たちの重い負担になっているという声もある。

 

「今はコロナで控えていますが、例年は1カ月のうち10回近く飲み会がありました。訓練が23時過ぎに終わるので、深夜1時すぎまで飲むこともあります。役職についたら、飲み会に来られない場合は代理をたてないと欠席させてもらえません。上の人が帰らないと帰れない雰囲気があって、翌日の仕事に支障が出るほどの睡眠不足になります」(20代男性)

 

 話を聞いたこの消防団の飲み会は、年に何度もコンパニオンを呼んでいるという。

 

20代の私にとってはコンパニオンを呼んで楽しむ感覚が理解できませんし、金額だってかさむはず。大会の時などは泊まりなので、コンパニオンを呼んで、選手は全裸にさせられたこともあります」

 

 団の資金繰りについても問題が浮上している。政府が全国1719団体を対象に実施した実態調査(20204月実施)によれば、報酬や手当を団員個人に直接支給していない消防団は約6割。その多くは団が預かる形をとっているといい、飲み会や慰安旅行などに使われているという。前出の20代男性の団でも、個人に支払われる日当は、団が預かって運用する形をとっているという。

 

「会計報告はないため、どういう用途で使われているのか定かではありません。地域住民からも消防費という名目でお金を徴収していますが、派手な飲み会やコンパニオンに使っている可能性もありますね」

 

 組織にこれだけの不満を抱いていれば、おのずと「退団」が選択肢に入るはずだ。しかし団員たちの多くが、「退団は難しい」とこぼした。

 

「辞めたいと切り出しても、『最低でも班長まで務めあげて、代わりの人間を勧誘すること』を求められます。若手同士ではよく、『県外に引っ越すしかないよな』という話をします。村八分覚悟でばっくれることも考えましたが、家族ぐるみでつながりがあるので、それもできずにいます」(20代男性)

 

 20代の若き団員は取材の最後、消防団を統括する消防庁に伝えたいこととして、こう切実な思いを吐露した。

 

「(地元の消防団は)内から変わるような組織ではありません。上から変えていかないと変わらないと思います。本気で組織を存続させたいのであれば、まずは団員の負担軽減を第一に考えてほしい。無駄な行事を無くして、実際の火災現場で役立つ技能を、無理のない範囲で習得できるような体制を作ってほしいです」

 

 団員不足が慢性的な問題となっている消防団。若手を確保するには、強制的な囲い込みではなく、組織の変革が必要なのではないか。健全に活動に励まれる団もある一方、令和においても「理不尽な古い慣習」を持つ団が残ったままでは、前途有為な新人の加入はますます遠ざかってしまう。


《カウンセラー松川のコメント》

消防団は消防組織法第9条に定められた消防機関であり、
そり設置については各市町村条例に基づいています。
法と条例に基づき組織された消防団で活動する消防団員は
条例により報酬と費用弁償の額も決められており、
これらは消防団員個人に支給されるべき金銭で、
その原資は税金です。
ところが、役所の一端とも言える消防団の活動資金が
常に不足しており消防団員の報酬や費用弁償をピンハネしている、
とても役所とは言えない実態があります。
また、消防団員は金銭を得ているとは言え、
ボランティアに変わりありません。
得ている金銭も労働への対価ではありませんので、
活動に対して法定の最低賃金を下回る状態もあります。
そして、多くの消防団員の活動時間は、
消防団員の個人的な自由時間を割いての活動です。
時には食事時間や睡眠時間を消防団活動に充てる事もあります。
そこまで活動しても労働の対価を得られないどころか、
条例で定めた金額さえも支給されないのは異常過ぎます。
勿論、消防団員はボランティアなので
嫌なら入団しない事や退団する事も可能です。
それでも消防団活動を続けている方々は居ます。
やりたくない人が多いのも事実です。
だから「成り手が少ない」と行政も頭を痛めているのです。
そんな状況下で平気でピンハネをする輩が全国的に存在する。
もう、国として異常としか思えません。
しかも、ピンハネどころかパワハラまである始末。
それが戦後どころか21世紀、令和になっても
連綿と存在し続けている狂った状況です。
こんな状況で誰が人の嫌がる役目を担う消防団に
喜んで入るのでしょうか?
「報酬を増額すれば良い」
「費用弁償を増額すれば良い」
「服装をかっこよくすれば良い」
「装備を充実すれば良い」
いくら増額しても個人の懐に入らないのであれば
それは無意味です。
また、一旦は個人支給しても、それを徴収している組織もあります。
こんな実態を改めない限り入団促進なんて無理です。
被服装備が不満で入団忌避をする人は少ないです。
総務省消防庁も各市町村も綺麗事や楽をしようとせず、
[消防団はボランティアで成立している]この大原則をよく考えて
対策を取らない限りは、何をやっても無駄だと確信しております。

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