2021年3月17日水曜日

〈独自〉法務省「悩み」際立つ 人事院相談、過去7年で最多「パワハラ体質」指摘も

〈独自〉法務省「悩み」際立つ
 人事院相談、過去7年で最多「パワハラ体質」指摘も

 

2021年3月17日() 21:02 産経新聞

 

 昨年度までの過去8年間に、中央省庁の職員が人事院に寄せた悩み相談計4285件(匿名などを除く)の省庁別最多は法務省の1245件で、全体の約3割を占めることが17日、人事院への取材で分かった。人事院は職員数に比例した結果と説明しているが、法務省に含まれる検察庁では、上司のパワハラが一因とみられる検事の自殺が表面化。専門家は「組織内の声にしっかり耳を傾けなければ、優秀な職員が去ってしまう」と危機感を強めている。

 

■他省の2倍以上

 

 人事院は、各省庁に勤務する職員を対象にした悩みの相談窓口を設置。パワハラやセクハラなどに関する相談を職員から聞き取り、アドバイスしている。

 

 人事院が省庁や外局、各種委員会など約40組織を対象にした調査によると、平成24年度~令和元年度の8年間における常勤の一般職国家公務員からの相談件数は計4285件。このうち、検察庁を含む法務省職員からの相談が最多の計1245件だった。

 

 法務省の昨年度の常勤職員は、全体26万7425人の約2割に当たる4万2567人。相談件数は200件で、人事院の担当者は「職員数の多さが相談件数につながっている」と分析するが、最多の5万4606人が在籍する国税庁は55件、法務省に次ぐ3万8164人が勤務する国土交通省は84件で、法務省はそれぞれの2倍以上に相当する。法務省の担当者は「悩みに適切に対応し、風通しのよい職場環境を整えたい」と話した。

 

■司法修習生以下だ」

 

 「検察官としてあるまじき行為をしてしまい、申し訳ありません」

 

 令和元年12月10日、広島地検の公判部検事だった男性=当時(29)=が、自宅にメモを残し自殺しているのが見つかった。東京でイロハを学び、広島地検に配属された「新任明け」の若手検事だった。

 

 広島地検で男性の先輩だった元検事の橋詰悠佑弁護士(38)は、この若手検事から約1週間前に相談を受けていた。「机をたたきながら上司に『司法修習生以下だ』と罵倒された」との内容で、自殺の6日前には「(検察官になったことを)間違ったかな」、4日前には「色々疲れたわ」とのメッセージを別の知人に送っていたという。

 

 検察側は自殺原因を「不明」としたが、橋詰弁護士は、パワハラの可能性を指摘。「過剰な指導が自殺に追い込んだ」として、両親とともに公務災害の申請を進めている。

 

 橋詰弁護士の独自調査によると、過去10年間で現職の検事、副検事らが自殺したケースは今回を含め少なくとも6件あった。橋詰弁護士は「仕事で心を病み、休職する検察官も多い。組織の体質に問題があり、改革が必要だ」と訴えている。

 

■人材育成に懸念

 

 検察組織の内情を暴露した「検事失格」「ナリ検 ある次席検事の挑戦」などの著作がある元検事の市川寛弁護士は「『司法修習生以下だ』と怒鳴る行為は全く無意味。指導ではなくただのパワハラだ」と憤る。

 

 15年以上前の現職当時、暴言交じりの「無意味」な説教に長時間耐えることが日課だったと明かす。上意下達が徹底される中で、睡眠薬や精神安定剤を服用しながら上司や被疑者と対峙(たいじ)していたといい、「どの薬が効くか」をテーマに同僚と雑談したこともあった。

 

 市川弁護士は、「検察は国家の治安維持を担っており、仕事に厳しさが求められるのは理解できる」としながらも「怒鳴ることでしか指導できないのは上司の能力不足だ」と強調する。

 

 労働問題に詳しい八王子合同法律事務所(東京)の尾林芳匡(よしまさ)弁護士は、厳しいとの指摘がある検察庁の職場環境について、「時代錯誤な指導を見直し、組織の体質改善を実現する仕組みを作らなければ人材が育つ土壌が失われてしまう」と話した。


《カウンセラー松川のコメント》

公務員が決して楽な仕事ではない一片を表している統計です。
この統計は一般職なので、法務省管下でも検察官、刑務官は含まれないです。
それでも、この様な高い数値ですので、
これに公安職を入れたら更に増加するでしょう。
それにしても解説部分の記事では検事の話題なので、
どこかピントの外れた記事だと感じました。

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