2021年3月20日土曜日

泣きながら丸刈り、夜中まで続くLINE…生徒を追い込んだ顧問の言動

泣きながら丸刈り、夜中まで続くLINE…生徒を追い込んだ顧問の言動

 

2021年3月20日() 9:11 沖縄タイムス

 

 沖縄県立コザ高校で運動部主将を務めた男子生徒が自殺した問題で、県が19日に明らかにした第三者調査チームの調査報告書は「部活動以外の要因は見当たらない」と結論付けた。顧問が日常的に向けた厳しい言葉、生徒と夜中まで続いたライン、丸刈りにせざるを得ない心理的追い込み-。過去にも顧問の授業中の発言で不登校となった別の生徒や不適切な言動を受けた部員の女子生徒がいたなどの事例もあったが、学校が調査や十分な対応をせず、今回の自殺を防げなかった。

 

 ■言葉の荒さ指摘

 

 報告書によると、学校関係者への聴取で顧問の言葉が荒く感じるとの複数の指摘があり、生徒の携帯電話に残るラインの言葉にも同様の傾向があった。一方、顧問のライン履歴では削除されており、「教諭自身も不適切とみて削除した可能性がある」としている。

 

 丸刈りについては強要はないとされながらも、生徒が泣きながら丸刈りにする様子を部活動の大会前日に家族が確認していた。顧問が競技の勝敗の理由に挙げられることに苦痛を感じ丸刈りに追い込まれたとし「真意に反していても行わずにはいられない脅迫的な行動だった」としている。

 

 部活動の時間以外でも顧問の生徒への関わり方で問題点が浮かんだ。学園祭の際に学級担任との調整もなく、顧問の指示で生徒は部活動費の財源を得るために古紙回収作業をさせられ、クラスの出店に参加できないこともあったという。

 

 ■鼻に指を入れる

 

 自殺した生徒が入学する前には、顧問から授業中に不適切な言葉を受けた女子生徒が2018年度に不登校になっていた問題も今回の調査の中で判明した。

 

 コザ高校の東盛敬校長は19日の会見で、自身が赴任する前の事案だとしながら、2017年度にも「当該顧問が鼻に指を入れたりいきなり技を掛けられたと女子生徒から副顧問に相談があった」と説明。情報共有のなさや顧問の言動を注視するなど再発防止の意識が足りないことを認めた。

 

 調査チームはこの不登校事案について、「極めて重要な問題。学校により調査や十分な対応がなされた様子がない」と指摘。「教諭の言動に対して注意を払うべきだった」とし学校側が顧問の調査分析をした上で「研修を受けさせるなど対応が必要だった」とした。

 

 ■辞められぬ状況

 

 同校では部活動特別推薦で部活を3年間継続する意志や「確約書」の提出が求められる制度があった。特別推薦で入学した生徒が退部した場合は、推薦枠を失わせるペナルティーを課す運用が行われていた。

 

 調査チームは「部活動を辞めたら退学になると誤解しやすい状態になっており、部活動を辞めることができない状況は生徒を追い詰める要因になったと思われる」と指摘した。

 


※ 別の部分を伝えているので、こちらも掲載しました 

夜中まで主将にLINE連絡の顧問、高2自殺の前日は興奮状態で叱責
…「最後の引き金」か

 

2021年3月20日() 12:14 読売新聞

 

 沖縄県立高校2年の男子生徒(17)が1月に自殺した問題で、県教委は19日、自殺の要因を「部活動の顧問との関係を中心としたストレスの可能性が高い」とする第三者チームの調査報告書を公表した。金城弘昌教育長は記者会見で「顧問から過度のプレッシャーを与えられ、精神的に追い込まれた様子がうかがえる。重い責任を感じている」と謝罪した。

 

 発表によると、生徒は運動部の主将を務めていた。顧問の男性教諭(40歳代)からは「主将をやめろ」などと言われていたほか、LINEでの連絡が夜中まで続くことがあったという。顧問の指示で、学園祭のクラス活動に参加できないこともあった。

 

 自殺前日には、部活動を切り上げる時間を巡って顧問から叱責(しっせき)された。顧問は興奮して熱くなったことを調査で認めており、報告書は「日常的なストレスで限界に近かった生徒の精神状態に対し、(自殺の)『最後の引き金』になった可能性が高い」と結論づけた。

 

 県教委は今後、顧問の懲戒処分を検討する。

 

顧問を恐れ退部できず

 男子生徒は小学時代に競技を始め、高校では大きな大会で優勝を飾るなど活躍していた。

 

 生徒の家族によると、深夜、顧問から生徒に連絡が来ることもあり、生徒は「すぐに電話に出ないと先生に怒られる」と、着信にすぐに対応できるよう片耳にイヤホンをはめて過ごしていた。両親は退部も勧めたが、生徒は「やめたら先生にもっと言われる。インターハイまでは続ける」と話していたという。

 

 生徒は小学校の卒業文集で、将来の夢に「教師」を挙げ、「勉強だけじゃなく、人として大切なことを教えてやりたいと思う」とつづっていた。母親は「顧問は教員という以前に人としてどう感じていたのか」と憤り、「逃げ道もふさがれて我慢の限界だったと思う。守ってあげられなかった」と悔しさをにじませた。 


《カウンセラー松川のコメント》

「行き過ぎた指導」こんな言葉で片付けて良い問題ではありません。
推薦枠で入学したが為に部活を辞められない背景が出来てしまい、
そこへ顧問の異常に執着した嫌がらせが生徒を追い込み、
辞めるに辞められないが故に自らの死を選ばざるを得ない所まで
追い込んだのは間違い無いでしょう。
[目的と手段]と言われますが[競技での目的は勝利]これはプロの世界です。
学校の部活動は教育の一環なので[競技での手段が勝利]なのです。
では「目的は何か?」と問われれば、それは勝つ為の努力や工夫です。
勿論、勝つ為の工夫で[悪質タックル]の様な反則行為をするのは論外です。
プロは勝つ事で収益を上げるのですから、勝たなくては意味がありません。
しかし、部活動での勝利では部員達の収入が上がる訳ではありません。
学校の宣伝になり、学校当局の収入が増えるだけですから、
本来は部活動勝利の為の児童生徒学生を募るのは
学校教育の一環として行われる部活動の趣旨に反しているのです。
[全国大会への遠征費用捻出の為の寄付強要]

[全国大会で優勝したから凱旋パレード]
は、行うべきではないのです。
そもそも、部活動とは身の丈に合わせるのが本旨であり、
莫大な遠征費用を要する全国大会自体不要とさえ思えます。
[勝利至上主義]が招いた悲劇は、指導者一人の問題ではなく、
部活動そのものを見直さない限りは、いずれ何処かで再発するでしょう。

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