腕立て500回、10分間立ち泳ぎ 兵庫県警でパワハラ

腕立て500回、10分間立ち泳ぎ　兵庫県警でパワハラ

 

2021年3月19日(金) 18:34　朝日新聞

 

　ミスしたら腕立て伏せ500回、10キロの重荷をつけて10分間立ち泳ぎ――。部下にこんなパワハラ行為を繰り返したとして、兵庫県警は19日、機動隊の男性巡査部長（29）を戒告処分とし、発表した。

 

　監察官室によると、巡査部長は2019年4月～20年11月、いずれもミスをした懲罰の名目で、20代の男性隊員4人に以下のパワハラ行為をしたという。

 

　内容は、災害訓練中にチェーンソーの刃を地面に向けて傷をつけそうになったとして、腕立て伏せ500回を命じた▽海中捜索の際に潜水用ボンベを誤って倒したことを報告しなかったとして、10キロの重荷をつけさせて10分間の立ち泳ぎをさせた▽勤務交代の「5分前行動」に3、4分遅れたとして、5時間半現場で立たせた▽訓練中に銃口を人に向けたとして、右脇腹などを蹴った――。

 

　巡査部長は「厳しく接することが部下の成長につながると考えたが、つらい思いをさせた」と反省しているという。

《カウンセラー松川のコメント》

［災害訓練中にチェーンソーの刃を地面に向けて傷をつけそうになったとして、
腕立て伏せ500回を命じた］
問題点は、500回の部分です。
公安職で訓練中のミスに対して腕立て伏せは当たり前の様に行われています。
ミスの防止と腕立て伏せに直接の因果関係は皆無です。
しかし、ミスを犯すと大変な目に遭う事を身体で覚える為の
指導法の一つとして過去から行われていました。
機動隊員でも100回程度にしておけば良かったのかも知れません。

［海中捜索の際に潜水用ボンベを誤って倒したことを報告しなかったとして、
10キロの重荷をつけさせて10分間の立ち泳ぎをさせた］
問題点は、10キロの重荷をつけさせての部分です。
ボンベを倒した事を報告しないと、
そのボンベが倒れた事で壊れてしまっても分からないのです。
この様なミスを申告しないことに対してのペナルティは必要です。
しかし、10キロの重荷をつけさせて10分間の立ち泳ぎをさせた事で
溺水の事故発生の可能性もあるので、危険な行為を行わせたのは問題です。
無荷重で泳がせておけば良かったのかも知れません。
でも、海中捜索する様な隊員ならば、泳ぎも達者だと思うので、
単に泳がせるだけではペナルティにならないかも知れません。

［勤務交代の「5分前行動」に3、4分遅れたとして、5時間半現場で立たせた］
問題点は、5時間半現場で立たせたの部分です。
5時間半あれば相当な業務が可能ですし、
業務時間外に行ったのであれば論外です。
始末書を作成させるのが適当だったと思います。

［訓練中に銃口を人に向けたとして、右脇腹などを蹴った］
これは止む無しです。
銃を扱う者として訓練中や執行中でも対象者以外に銃口を向けるのは
絶対に禁止です。
警察学校の初任教養中ではない機動隊員ならば、
この大原則が絶えず守れて当然です。
それが出来なかったのですから、
推奨はしませんが体罰を喰らっても文句は言えません。

加害者の弁として「厳しく接することが部下の成長につながると考えた」
とのことですが、これも強ち間違いではありません。
民間企業や役所の一般職とは異なり警察官、
特に機動隊員となれば厳しい訓練や指導が無いと一人前になれない隊員が出て、
その者がミスを犯す可能性は大きいです。
機動隊員は警備警察の最前線ですから、
隊員のミスは重大事案に繋がる可能性も大きいです。
改めて「パワハラとは何ぞや」「指導とは何ぞや」と考えてしまいました。