2022年9月25日日曜日

上がらない時給、暴言、セクハラ… 長崎県内でも“ブラックバイト” 学生標的、相談窓口利用を

上がらない時給、暴言、セクハラ…
 長崎県内でも“ブラックバイト” 学生標的、相談窓口利用を

 

2022年9月25日() 11:02 長崎新聞

 

 上がらない時給。職場内に飛び交う暴言。男性社員からのセクハラ-。長崎市内の大学3年、山城百花(20)=仮名=は入学以来、ブラックバイトをいくつも経験してきた。立場の弱い学生が、アルバイト先で虐げられている事例が県内でも後を絶たない。

 「1カ月の研修期間の時給800円、その後900円。顔に自信のある方」

 そんな募集要項を見て、応募したのが同市内の飲食店のバイト。2020年10月から21年8月まで在籍したが、時給はずっと800円のまま。店長のお気に入りの女性でシフトが埋まることが多く、嫌気が差して退職した。給料は日払い。給与明細は残っていない。

 次の職場は同市内の宴会場。社員の男性はアルバイトたちに「早くしろ、このボケカス」「お前ら殺すぞ」と暴言を浴びせる。ごみを投げつけたり、物越しに蹴ってくるなどの暴力も日常茶飯事だった。

 パワハラの「標的」にされるのは強く言い返せない学生ばかり。山城は、他の男性社員から二の腕をもまれるセクハラも受けたという。「学生が自分の気持ちを職場に伝えるべきだ。目上だからと尻込みせず、駄目だと思うことはきちんと表明しないと」と疲れた表情で話した。

 「ブラックバイト」は、学業との両立が困難なほどの長時間労働や急なシフト変更を強いられたり、脅され辞められない、ハラスメントが横行している、募集内容と違う賃金形態-などの特徴がある。社会問題化して久しいが、学生のバイト事情を巡っては新型コロナウイルス流行以降、シフトが極端に減ったり、感染リスクがある中での労働といった別の問題も噴出している。

 この問題の解決に取り組むNPO法人「POSSE」の今野晴貴代表理事によると、労働力不足にあえぐ日本において学生は「低賃金の労働力」と位置付けられており、すぐに状況が好転する見込みはない。対策として今野代表理事は「学生に労働法の知識を普及させること、行政が学生アルバイトの多い業界への働きかけを強めること、そして学生の間で自主的な労働組合の組織が広がること」を挙げる。

 県内でブラックバイトに苦しむ学生がどれぐらいいるかについての調査結果は見当たらないが、全国的に相談を受け付ける労働組合「ブラックバイトユニオン」(東京)に昨年度寄せられた相談件数は111件。ただこれも「氷山の一角」との見方が強い。

 長崎大は「何でも相談室」で相談を受け付け、支援機関につないでいる。県内の無料相談窓口は7カ所。長崎労働局総合労働相談コーナーは「1人で抱え込まず相談してほしい」としている。問い合わせは同コーナー(電095・801・0023)。


《カウンセラー松川のコメント》

仕事先を選ぶ時に「顔に自信のある方」と記されている職場に対して
何も違和感を覚えなかったのでしょうか?
大学生にもなって、そんな感覚を持ち合わせていない事も問題だと思います。
勿論、給与明細も無く、記載どおりの賃金を払わない者を擁護しませんが、
募集時点で怪しさを覚悟しておくべきでしょう。
「アルバイトでは労働契約の締結までしてくれない」
「労働契約について知らない」
高校生や大学生ならば仕方無いとも思います。
しかし、18歳から成人と法律で決められてしまった以上は
「法律なんて知りません」との言い訳も効きません。
厳しいですが我が国の法体系では
「官報に掲載された法令は全ての国民が知っている」前提ですし、
自身が未成年や生まれる前の法令についても同様の扱いです。
ですから、他人に頼るよりも前にアルバイトを始めるならば、
その前に労働者として知っておくべき最低限の内容を学ぶべきです。
今はインターネットでも官公庁や公的機関からの情報も入手可能です。
それでもブラックな勤務先に遭遇してしまうかも知れませんが、
それでも事前学習をしていないよりは被害の軽減出来る構うせいはあります。

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