2026年3月4日水曜日

▼永守重信氏「やる気なしの無責任野郎ばかり」「全員やめてくれや」と叱責繰り返す、第三者委員会が指摘…執行役員も子会社幹部に「お前はS級戦犯だ」

永守重信氏
「やる気なしの無責任野郎ばかり」「全員やめてくれや」と叱責繰り返す、
第三者委員会が指摘…執行役員も子会社幹部に「お前はS級戦犯だ」

 

2026年3月4日() 10:50 読売新聞(金井智彦、福原悠介)

 

 ニデックの不正会計を調べる第三者委員会の調査報告書は、「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」など利益を最優先とする創業者の永守重信氏(81)の経営スタイルが、不正会計の原因になったと指摘した。「永守氏の会社」からの脱皮ができるか、風土改革の実効性が問われる。

 

負の遺産

 業績目標達成のため会計不正が行われた結果、積み上がった資産性に疑義のある資産は、ニデック社内で「負の遺産」などと呼ばれていたという。不正は長期にわたり、第三者委の井上寅喜委員は記者会見で、ミスも含めて「1000件以上はあった」と述べた。

 

 原因の一つが、各事業の実力を踏まえずに設定された「非現実的な業績目標」だ。利益最優先の永守氏の精神を反映したものであり、「永守氏の経営スタイルそのもの」と指摘した。

 

 永守氏はメールなどで「全員やめてくれや!」「経営管理が全くダメであり信頼できない」などと叱責(しっせき)を繰り返した。

 

 「赤字は悪」であるとの考え方が長年にわたって徹底された。これにより、利益最優先の意識が企業風土として醸成され、目標を達成できない子会社幹部に対して「お前はS級戦犯だ」などと罵倒する執行役員もいた。

 

不正を容認

 第三者委は永守氏による直接的な不正の指示は確認されなかったと認定した。社内では「特命監査」として永守氏直属で一部調査が行われていたが、内容は監査法人や社内の監査部門に伝えず、不正を計画的に会計処理するなど、組織的な隠蔽(いんぺい)を繰り返していた。

 

 「負の遺産」も、組織的に把握していたにもかかわらず、監査法人に秘匿したまま、利益が出た際に少しずつ処理していた。永守氏が不正を認識した上で「是正を先延ばしにし、それ自体会計不正と評価される。不正を容認したとの評価は免れない」とした。

 

 一方、現社長の岸田光哉氏については、具体的な認識がなく、負の遺産の処理に関して進言するなど、「相応の努力をしたと評価できる」とした。

 

筆頭株主

 岸田社長は3日の記者会見で「『必ず正しくやる』ということを企業風土の中心に据えるべく運営していく。一部のステークホルダーによって運営がゆがめられることがないような仕組みをつくっていくことが使命だ」と再生への決意を述べた。ただ、あるOBは読売新聞の取材に対し、「管理職の部下への叱責は日常的だった。風土を変えるのは簡単ではない」と懸念を示す。

 

 永守氏は先月、名誉会長を辞任し、社内の全ての役職から退いたが、昨年9月時点でニデック株を個人で8・61%、資産管理会社を通じて3・52%保有する事実上の筆頭株主だ。

 

 企業統治に詳しい山口利昭弁護士は「社内で意見が分かれた際に、永守氏に株主として支援を求めることもできてしまう」と指摘した上で、「健全な経営のためには、少なくとも人事面に一切影響を持たない関係性にすることが重要だ」と話している。

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